旧岩鼻火薬製造所跡(群馬の森)|何があった場所か
県立公園「群馬の森」は高崎市綿貫町にあり、面積は26.2ヘクタールある。この一帯には、1882年(明治15年)11月から陸軍の火薬製造所があった。創業時の名は「東京砲兵工廠岩鼻火薬製造所」で、板橋に続く陸軍の火薬製造所だった。場所が選ばれた理由として、烏川と井野川の舟運の便と、水車の動力の得やすさが挙げられている。
名称は1923年(大正12年)に「陸軍造兵廠火工廠岩鼻火薬製造所」、1940年(昭和15年)に「東京第二陸軍造兵廠岩鼻製造所」と変わった。黒色火薬に続いて明治の末にはダイナマイト、昭和に入ると無煙火薬が造られ、操業は1945年(昭和20年)の終戦まで続いた。1942年(昭和17年)には工場拡張のため、北側を通っていた日光例幣使道が付け替えられている。終戦時の敷地は32万5千坪と記録される。
旧陸軍の未利用地は1968年(昭和43年)、明治百年記念事業の公園の候補地に選ばれた。1974年(昭和49年)10月17日、県立近代美術館の開館と同じ日に開園した。1979年(昭和54年)には隣に県立歴史博物館が開いた。
園内には、爆風を避けるために築かれた土塁が残る。公園の管理者は、爆風避けの土塁や当時の建物・壁を「歴史の痕跡」として紹介している。製造所の集会所だった建物は公園の外に現存し、2026年7月に文化審議会が登録有形文化財に答申した。

時のながれ
- 明治15年(1882)11月 — 「東京砲兵工廠岩鼻火薬製造所」として、黒色火薬の製造が始まる。
- 大正12年(1923)4月 — 「陸軍造兵廠火工廠岩鼻火薬製造所」に改称する。
- 昭和15年(1940)4月 — 「東京第二陸軍造兵廠岩鼻製造所」に改称する。
- 昭和20年(1945) — 終戦により、火薬製造所としての操業を終える。
- 昭和21年(1946) — 日本化薬の自社沿革によれば、同社が岩鼻の作業所の貸与を受け、黒色火薬と導火線の製造を始める。
- 昭和43年(1968)4月16日 — 旧陸軍所有の岩鼻の未利用地が、群馬の森の建設候補地に選ばれる。
- 昭和49年(1974)10月17日 — 県立近代美術館の開館と同じ日に、県立公園群馬の森が開園する。
- 昭和54年(1979)10月21日 — 隣接して県立歴史博物館が開館する。
編集部の調査メモ
このページを作るにあたって、編集部が何を確認したか、このページでどう扱ったかを記録しています。
資料で確認できたこと
- 群馬の森の公式サイトは、この地に1882年11月から東京砲兵工廠岩鼻火薬製造所と称した黒色火薬の製造所があり、1923年4月と1940年4月に改称し、1945年の終戦まで火薬の生産と供給を行ったと記す。同じページは、公園内に爆風避けの土塁や当時の建物・壁が残るとする。
- 高崎市の広報の連載「たかさき100年」第22回は、烏川と井野川の舟運の便と水車の動力の得やすさを立地の理由に挙げ、昭和17年(1942)に工場拡張のため北側の日光例幣使道を付け替えたこと、終戦時の敷地が32万5千坪だったことを記す。
- 高崎市の『第1回高崎学検定 問題と解説』は、1879年に日本で2番目の陸軍火薬製造所をこの地に建てることが決まったと記す。高崎市文化財保存活用地域計画は、昭和9年(1934)から無煙火薬の製造が始まったとし、旧陸軍岩鼻火薬製造所跡には当時の施設の様子を残す遺構が良好に現存すると記す。
- 群馬県立近代美術館の沿革は、昭和43年(1968)4月16日に旧陸軍所有の岩鼻の未利用地が群馬の森の建設候補地に選ばれ、昭和49年(1974)10月17日に美術館の開館と同時に県立公園群馬の森が開園し、昭和54年(1979)10月21日に隣接して県立歴史博物館が開館したと記す。
- 文化庁は、2026年7月17日の文化審議会の答申で、日本化薬株式会社高崎クラブ(旧岩鼻火薬製造所集会所)が登録有形文化財(建造物)の登録の対象になったと発表した。
そのため、このページではこうしています
- ダイナマイトの製造開始は、資料で年が割れるため、明治の末という幅で示す。
- ピンは公園の所在地(高崎市綿貫町992-1)を国土地理院の住所検索で引いた点で、製造所の跡地全体を示すものではない。
現地確認: 未実施
❓まだ分かっていないこと
この場所には、資料ではまだ確認できていない事柄がある。
- 園内に残る土塁や当時の建物・壁が、園内のどこにあるかを示した公式資料は見つからず、現地でも確かめていない。
- 旧岩鼻火薬製造所集会所の建物が一般に公開されているかどうかは確認できていない。
- ダイナマイトの製造が始まった年を、高崎市の広報の連載「たかさき100年」は明治38年(1905)、高崎市文化財保存活用地域計画は明治39年(1906)と記す。
参考・出典
8件出典に基づいて掲載している
- この場所について
群馬県立公園 群馬の森(指定管理者 群馬の森パートナーズ) - 概要/沿革
群馬県立近代美術館 - 博物館概要
群馬県立歴史博物館 - 第1回高崎学検定 問題と解説
高崎市 - 高崎市文化財保存活用地域計画
高崎市教育委員会 - たかさき100年 第22回 岩鼻火薬製造所と軽便鉄道(『広報たかさき』971号 p.16。市の公式ページは現在閲覧できないため、2025年2月15日のインターネット・アーカイブの保存版)
高崎市(総務部広報課) - 沿革 復興から成長へ:1946〜1956年
日本化薬株式会社(企業の自社沿革) - 文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)令和8年7月17日
文化庁
この場所について
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