足尾銅山跡(日本の銅の4分の1を産した山と、渡良瀬川の鉱毒)|何があった場所か
日光市足尾町の山あいに、国の史跡足尾銅山跡が点在する。文化庁は、天文19年(1550)に発見されたと伝えられ、慶長15年(1610)に本格的な経営が始まり、慶安元年(1648)から幕府の御用銅山になったと記す。日光市によれば、ここの銅は江戸城や日光山、寛永寺、増上寺の銅瓦に使われた。明治10年(1877)に古河市兵衛が買収して新しい技術を入れ、20世紀初めには日本の銅産出量の4分の1を担うまでになったと文化庁は記す。
一方で、廃水や廃石、製錬のかすに含まれる有害物質と、製錬の排煙(亜硫酸ガス)で裸地になった松木地区の土砂が渡良瀬川へ流れ出た。日光市は、明治23年(1890)8月の大洪水による下流の農作物被害を機に鉱害問題が表面化し、翌年12月に田中正造が帝国議会で質問したと記し、これをわが国初の公害事件とする。明治29年(1896)から予防工事命令が重ねて出された。昭和48年(1973)2月28日に閉山し、輸入鉱石による製錬も昭和63年(1988)に事実上止まった。
平成20年(2008)3月28日、基幹坑道の通洞坑と宇都野火薬庫跡が史跡に指定され、平成26年に本山地区の4か所が加わった。通洞坑は閉山後の昭和55年(1980)から、市の観光施設「足尾銅山観光」として坑内の一部が公開されている。

時のながれ
- 天文19年(1550) — 文化庁によれば、足尾の銅山が発見されたと伝えられる年。
- 慶長15年(1610) — 本格的な経営が始まる。慶安元年(1648)からは幕府の御用銅山となる。
- 明治10年(1877) — 古河市兵衛が銅山を買収し、経営に着手する。
- 明治23年(1890)8月 — 渡良瀬川の大洪水で下流の農作物に被害が出て、鉱害問題が表面化する。
- 明治29年(1896) — 通洞坑が完成する。12月25日、農商務省が第一回予防工事命令を出す。
- 明治30年(1897)5月27日 — 第三回予防工事命令が出され、工事は同年11月22日に完了する。
- 昭和48年(1973)2月28日 — 足尾銅山が閉山する。製錬は輸入鉱石で続き、昭和63年(1988)に事実上止まる。
- 昭和55年(1980) — 通洞坑の坑内の一部が、市の観光施設「足尾銅山観光」として公開される。
- 平成20年(2008)3月28日 — 通洞坑と宇都野火薬庫跡が史跡足尾銅山跡に指定される。
- 平成26年(2014)3月 — 本山坑・本山動力所跡・本山製錬所跡・本山鉱山神社跡が追加指定される。
編集部の調査メモ
このページを作るにあたって、編集部が何を確認したか、このページでどう扱ったかを記録しています。
資料で確認できたこと
- 文化庁の国指定文化財等データベースは、史跡「足尾銅山跡」の指定年月日を2008年3月28日とし、このとき通洞坑と宇都野火薬庫跡を指定、平成26年に本山坑・本山動力所跡・本山製錬所跡・本山鉱山神社跡を追加指定して名称を変更したと記す。
- 日光市は、通洞坑が明治18年に開鑿を始め明治29年に完成し、昭和48年2月の閉山まで使われたと記す。昭和55年に坑内を使った観光施設が開かれ、一部が公開されている。
- 日光市は、明治30年5月27日の第三回予防工事命令が、命令書交付後7日以内の着工と30項目の工事を求め、遅れれば鉱業停止とする内容であったと記す。
- 栃木県は、通洞坑は観光施設として有料で公開され、それ以外の構成要素は古河機械金属の社有地で非公開(特別公開あり)と記す。
そのため、このページではこうしています
- ピンは通洞坑の坑口を示す。史跡の構成要素は通洞・本山・小滝の各地区に分かれており、ピン一つで全体を表すものではない。
- 日光市は、本山坑・本山動力所跡・本山製錬所跡・宇都野火薬庫跡について、敷地内では見学できないと記す。
現地確認: 未実施
❓まだ分かっていないこと
この場所には、資料ではまだ確認できていない事柄がある。
- 銅山が民間に払い下げられた年を、文化庁は明治4年(1871)、日光市の歴史の解説は明治5年(1872)と記す。日光市の観光施設の案内は、明治10年(1877)に古河市兵衛の手で民営化されたと書く。
- 銅が初めて見つかった年を、文化庁と栃木県は天文19年(1550)と伝えられるとし、日光市の観光施設の案内は慶長15年(1610)に備前楯山で初めて発見されたとする。文化庁は慶長15年を本格的な経営の始まりとしている。
- 宇都野火薬庫跡が史跡に指定された時期を、日光市は平成20年2月と記し、文化庁と栃木県は2008年(平成20年)3月28日と記す。
参考・出典
5件出典に基づいて掲載している
- 足尾銅山跡 通洞坑 宇都野火薬庫跡 本山坑 本山動力所跡 本山製錬所跡 本山鉱山神社跡
文化庁 国指定文化財等データベース(文化遺産オンライン) - 足尾銅山跡 通洞坑 宇都野火薬庫跡 本山坑 本山動力所跡 本山製錬所跡 本山鉱山神社跡
栃木県(とちぎの文化財) - 足尾銅山観光
日光市 - 足尾銅山の歴史
日光市 - 足尾銅山の産業遺産の紹介
日光市
この場所について
この場所について、いま知っていることを教えてください。