調べ方ガイド
事故物件の調べ方 — 内見前に無料でできる確認5つ
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いい部屋を見つけて、内見の予約を入れる前に「ここ、大丈夫かな」と一瞬よぎる。そのモヤモヤは、内見に行く前の10分で大方片付く。順番さえ間違えなければ、だ。
事故物件の調べ方は、実はネットの記事によってバラバラに書かれている。大島てるだけで安心する人もいれば、不動産会社に聞けばいいと言う人もいる。でも本当に効くのは、この2つを含めた5つを「この順番」でやることだ。以下、上から順に試してほしい。
1. まず大島てるで住所検索する
一番手軽なのは、事故物件情報サイト「大島てる」で住所を検索することだ。会員登録は不要で、地図上に表示される目印をクリックすると、住所や事故の内容(死因や発生時期など)がポップアップで出てくる。
やり方は単純で、検索窓に物件の住所か最寄り駅を入れて、地図をズームするだけ。ただし、スマホでサイトを開くと最初にマップ以外の画面(新着情報の一覧など)が出ることがある(2026年7月の執筆時点)。その場合も、表示を切り替えればパソコン版と同じ検索マップが使える。
ここで大事なのは、大島てるを「答え合わせのツール」だと思わないことだ。掲載情報には一般の利用者からの投稿が含まれており、真偽不明の情報や、古くなって実態と合わない情報が混じっている可能性がある。載っていない=安全、載っている=絶対に事故物件、のどちらも言い切れない。あくまで「疑うきっかけを掴む1次スクリーニング」として使うのが正しい距離感である。
2. 不動産会社に直接聞く(これが一番効く)
大島てるより確実なのは、担当の不動産会社に直接聞くことだ。「この物件、心理的瑕疵はありますか」とストレートに聞いて構わない。ここで、なぜ不動産会社に聞くことに意味があるのか、根拠を押さえておく。
国土交通省が2021年10月に公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、老衰や病死などの自然死、それに転倒や誤嚥、入浴中の事故といった日常生活の中での不慮の死については、賃貸借・売買のどちらでも原則として告げなくてよいとされている。ガイドラインが引く統計では、自宅で亡くなる人の死因のうち約9割を老衰や病死による自然死が占める。
一方で、これ以外の死(他殺や自死など)や、特殊清掃・大規模リフォームを伴った自然死については、賃貸借取引の場合、その死の発生(特殊清掃等が行われた場合はその発覚)から概ね3年が経過すると、原則として借主に告げなくてもよいという基準が示されている。ただし事件性・周知性・社会に与えた影響が特に高い事案はこの限りではない。
つまり「不動産会社に聞いたのに『告知事項なし』と言われた」からといって、その部屋で過去に人が亡くなっていないとは限らないということだ。3年以上前の話であれば、ガイドライン上は告げなくても問題にならないケースがある。ここは誤解しやすいポイントなので、はっきり書いておく。
ただし、このガイドラインには重要な抜け道が用意されている。経過年数や死因にかかわらず、買主・借主から事案の有無を問われた場合は、宅建業者は把握している内容を告げる必要があるとされているのだ。つまり、黙っていれば告げなくてよい話でも、こちらから聞けば答えなければならなくなる。これが「直接聞く」を2番目に置いている理由だ。何も聞かなければ素通りする情報を、聞くだけで引き出せる。
聞くときのコツは、口頭だけで終わらせないこと。可能であれば「告知書(物件状況等報告書)があれば見せてもらえますか」と一言添えると、やり取りが記録に残る形になる。売主や貸主が物件の状況を書面にまとめたこの書類が用意されている取引なら、記載内容をその場で確認できる。
3. 物件名・住所での検索のコツ
大島てると不動産会社への確認だけでは拾いきれない情報を、検索エンジンで補う。ここでのコツは、物件名そのものより「住所」で検索することだ。
事故のあった物件では、その後に物件名が変わったり、建て替えられたりするケースがある。物件名で検索すると現在の綺麗な情報しか出てこないのに、住所(丁目・番地まで)で検索すると、改名前の物件名や当時のニュース記事が引っかかることがある。「(市区町村名) (丁目) 火災」「(市区町村名) (丁目) 事件」のように、住所と出来事の種類を組み合わせて何パターンか試すと、単純な物件名検索より情報が出やすくなる。
もう一つ、Googleマップのストリートビューで建物の外観を見ておくのも地味に有効だ。一部の部屋だけ壁紙やベランダの状態が周りと違う、といった不自然さに気づくことがある。
4. 家賃相場との乖離をチェックする
同じ駅、同じ築年数、同じ間取りの部屋を3つほど賃貸サイトで並べてみてほしい。相場が家賃6万円台のエリアで、1件だけ4万円台の部屋があったら、それは立地や築年数以外の理由がある可能性を疑うべきサインだ。
事故物件が周辺の相場より安く募集される例はよく知られている。ただし「何割安くなる」という公的な統計や基準は存在しないので、値引き幅の数字そのものではなく「同条件と比べて説明のつかない差があるか」に注目する。相場より極端に安い部屋は、日当たりが悪い、駅から遠いといった普通の理由で説明がつくこともあるが、それでも説明がつかない安さが残るなら、2番目のステップに戻って不動産会社に率直に聞いてみるのが早道だ。数字のズレに気づけるかどうかがすべてなので、必ず「同条件で3件以上」を横並びで見る癖をつけたい。1件だけ見て「安いな」で終わらせると、比較の基準がなく気づけない。
5. 周辺環境と土地の履歴を確認する
ここまでの4つは「その部屋そのもの」の話だった。最後の5つ目は視点を広げて、土地そのものの履歴を見る作業だ。
事故物件かどうかとは直接関係なくても、土地の履歴を知っておくと判断材料が増える。例えば大阪の千日前は、江戸時代に刑場と墓所があった場所として記録に残っており(千日前 刑場・墓所跡)、その後1972年には118名が犠牲になった大規模なビル火災も起きている(千日デパート火災の地)。今は繁華街として賑わうこの一帯にも、こうした履歴が積み重なっているのを、調べていて改めて実感した。
とはいえ、これは「昔ここで何かあったから危ない」という話ではない。むしろ逆で、こうした土地の多くは今では普通の繁華街や住宅街として何十年も問題なく機能している。大事なのは、その土地がどんな歴史を経て今の姿になっているかを、知った上で選ぶか、知らずに選ぶかの違いだ。
痕跡マップでは、住所を入力するとその周辺にどんな痕跡(水・戦・死・地・方位・噂の6分類)が記録されているかを地図上で確認できる。内見前の物件そのものの事故履歴は大島てるや不動産会社への確認で、その土地一帯が背負ってきた歴史は痕跡マップで、と役割を分けて使うのが実用的だ。
大島てるに載っていなくても安心材料にはならない
ここまで5つのステップを順番に説明してきたが、これを全部やっても100%は分からない。大島てるにはすべての事案が載っているわけではないし、不動産会社もガイドライン上告げなくていい情報は黙っていることがある。検索も、事件が小さく報道されなかったケースまでは拾えない。
だからこそ、1つのツールを妄信せず、5つを重ねて使うことに意味がある。特に2番目の「聞けば答えてもらえる」という部分は、知らないと使えない権利のようなものだ。内見の前に、この順番を一度なぞってみてほしい。
あなたの住所の周りに、どんな痕跡が残っているか。→ 痕跡マップで痕跡濃度を測ってみる
参考・出典
- 報道発表資料:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました - 国土交通省
mlit.go.jp - (別紙2)宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(PDF)
mlit.go.jp - 大島てる 大島てる物件公示サイト
oshimaland.co.jp - 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン 概要(PDF)
zentaku.or.jp